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湘南ブロックパークの一人反省会

正直なところ、今年(2017年)は出品側で参加するか決めかねており、運営サイド準備がどの程度進んでいるのかはおろか、 どんなテーマで開催するのかも知らない状態なので直接的に役に立つかはわからないですが、 出展者から見た記録といいうのがあまり残っていないように感じられたので記しておきます。

反省点を纏めている都合上ネガティブ寄りな文章が多く、この記事の意図を勘違いする人が居ると困るのであえて明記しておきますが、 「湘南ブロックパークというイベントそのものは開催した方が良いに決まってる」というのが私の考えです。

また、2016年時の私の担当は「バイオニクル系およびメカ・ロボの作品の管理・配置」です。

※「湘南ブロックパーク」といちいちタイピングするのが面倒なので以下「辻堂のイベント」(開催場所がJR辻堂駅前なので)とします。

イベントのベクトルについて

私はレゴのイベントその形態やベクトルによって「外向的」「内向的」「中間的」イベントの3種類に別れると考えています。

1つめが「外向的イベント」。 これは不特定多数の一般客向けのイベントで、代表的なものを挙げると『ジャパンブリックフェスト(JBF)』や『学園祭』などがあります。

「内向的イベント」はいわゆる『オフ会』全般はこれにあたり、私が開催するバイオニクル系のイベントもこれに該当します。

「中間的イベント」は前の2つの特徴を合わせたイベント。 つまり「一定の知識と関心を持った客層向けのイベント」です。代表的なものは『国際鉄道模型コンベンション(JAM)』のレゴブース(Lゲージ)です。 辻堂のイベントは来場者が一般人なので「外向的イベント」と言えます。 運営の仕方も展示方式も「来場客」を優先したシステムになっていたと思います。

これまでの関東圏のレゴイベントはオフィシャル(レゴ社ないしレゴジャパン)主催のものを除けば 大半が「オフ会」(=内向的イベント)であったため新鮮なイベントでした。 また、コミュニティに属さないファンであっても気軽にレゴ作品を鑑賞できる機会が設けられた事は意義深いものだったと断言できます。

ただし、それとは別に問題(というより課題)が幾つかあったと思います。

全ての作品を1つの卓に纏める」というコンセプトの盲点

辻堂のイベントで特徴的だったのが「展示作品をジャンル別に固めつつも卓は1つでシームレスになっている」点。 主催のぽん太さん曰く「ジャンルに囚われない組み合わせからストーリーを想像してもらう」というコンセプトで、 色んなものがごちゃごちゃ入ってるけどみんな主役だった「おもちゃ箱」への回帰みたいなイメージが根底にあり、 「全てレゴという共通項があるのだからそれも可能」という算段があったのだと思います。

ただ盲点だったのは、「レゴという共通点だけでは共存できない作品もある」事と、 その「おもちゃ箱」を覗くのが「おもちゃ箱の持ち主」ではなく「来場客」である点です。 ・レゴという共通点だけでは共存できない作品 レゴの作品は多種多様ですが、共通するのは全ての作品が何らかの「世界観」に基づいている(あるいは背負っている)という事です。

例えば消防車のレゴがあるとします。この作品は消防車という現実にある物体に基づいているため「現実の世界」という世界観を持ちます。 また消防車はレゴ製品でもポピュラーな存在であるため「レゴの世界」も同時に内包します。 (更にスケールがミニフィグ基準であれば「ミニフィグの世界」という世界観も持ちます)

次に実物大くらいのウサギを模した作品があるとします。 一見するとウサギと消防車に接点はなさそうに見えますが、 ウサギは実在の動物であり動物を模したレゴは数多くあります。 そのため「現実の世界」「レゴの世界」という2つの共通項があるため共存は不可能ではありませんし、両者の世界観を侵すこともありません。

そして世界観の共有することでよりその世界観を豊かにするというシナジーが発生します。

しかしここに「限りなく創作に近い作品」が来ると事情が違ってきます。 特にこれに当てはまりやすいのが私もよく作るバイオニクルの作品です。 バイオニクル作品は基本的にはミニフィグともスケールの共有をしないので「ミニフィグの世界」には属さず、 更に元々架空の物語を軸に展開したシリーズなので「現実の世界」ともリンクしません。 極めつけに作者が自分で思い描いた世界のキャラクターであれば「レゴの世界(バイオニクルの物語)」とも無関係。 つまり完全創作作品は「ひとりぼっち」になりやすいのです。

「それはポケモンやスターウォーズのようなキャラクターものも一緒だろう」と思うかもしれませんが、 彼らの場合は一般社会に認知されているため限りなく「現実の世界」の存在といえます。マイナーなものはその限りではないですが・・・ (ついでにポケモンなら架空とはいえ「動物」であり、スターウォーズなら「ミニフィグの世界」に共通する場合が多い)

ならば「完全創作の作品同士で並べればいい」と思うかもしれませんがそうもいきません。 なぜなら「Aという作品の持つ架空世界」と「Bという作品が持つ架空世界」がイコールであることはまずないからです。

それでもその作品の魅力が来場者に伝われば問題はありませんが、 周囲の作品たちがシナジーを発揮する中で完全創作作品は孤軍奮闘を余儀なくされます。 更に言えば周りの作品の世界観がより豊かで強固なればなるほど、完全創作作品の世界感の理解が困難にすらなります。

ゆえに完全創作作品は辻堂のイベントでは極めて不利だったと言えます。 また、相互にシナジーのないものを隣り合わせながら展示するのは、展示担当者としてかなり心苦しかったです。

来場客の立場からすれば分からない作品はスルーすれば問題はありませんが制作者はそうはいきません。 そしてそれは必然的に出展側のモチベーションにも関わってきます。

出展側のモチベーション

今回のイベントで大事なのは満足できたかどうかです。これは来場者はもちろんのこと出展サイドや運営にもいえることです。 前述の通り私はあくまで作品を展示の担当である(運営の根幹には関わっていない)ため出展サイドのモチベーションについて書きたいと思います。

出展サイドの満足感は少々乱暴ですが「作品の評価-出展労力=満足感」という方程式にできると思います。 「作品の評価」は一概には言えませんが今回のイベントは来場客向けである事が明示されていたので「来場客に興味を持ってもらえたかどうか」とします。

もちろん人それぞれ別の指標があっていいですがそこに踏み込むと哲学コラムになるので割愛。 あと辻堂のイベントは有志イベントなので基本的に無報酬です。


「来場客に興味を持ってもらえたかどうか」は「作品そのものがウケやすいか」と 「作品の魅力が見る者に伝わりやすい展示方法であるか」によって決まります。 先ほど「辻堂の展示方式には向かないジャンルが明確にある」と述べましたが、 それはつまり「作品の魅力を増幅はできていても補完はできていない(場合によっては更に減衰する)展示方式だった」ということです。

この展示パターンで苦戦を余儀なくされるのはズバリ「一般ウケしない(=マニアックな)作品」です。 そしてそれは即ち「マニアックな作品を作った人は満足感が低いイベントだった」ということです。

それ自体は当たり前といえば当たり前なのですが、 問題なのはマニアック作品が持ち味の人がキャッチーな作品を作る人と同じか、 人によってはそれ以上の労力を割かざるをえなかったところです。

正直なところ私の担当した「バイオニクル+ロボ」のエリアは「展示台の凹凸と揺れが酷くて作品を棒立ちさせるだけで精一杯」 「世界観を共有できない作品でも並べざるをえない(=並べれば並べるほど魅力が伝わりづらくなった)」とかなり心身ともにこたえる状況だったため、 正直「割にあわないな」と思いました。

※机の凹凸はこの会場(部屋)の使用が初めてだったため運営サイドも予見が難しかったであろうことは付記しておきます。

また、鉄道関係を総括していた某氏も正直かなりしんどかったんじゃないかと思います。 鉄道自体は一般ウケするのですが、彼自身が作り気に入っている作品(車種)はマニアックなものが多いため100%満足とはいかなかったでしょう(イベント慣れしている人なのである程度は承知の上でしょうが)。しかし設営(レールの敷設)は前述の机の凹凸のせいで調整が非情に難航したため、要した労力が満足感を大分薄めてしまったのではないかと思います。(要は割に合わない)

(私信:「そんなこと思ってないよ!」というようであれば消しますので連絡ください to 某氏)

もちろん初開催のイベントで問題点が出るのは当然なので仕方ないとです。 ただ、あくまでオールジャンルを売りに人員を募るのであれば可能な限りここを補完する工夫も模索していくべきだと思います。

自分に相性のいいイベントを選ぼう

色々と書いてきましたが最後に冒頭で「辻堂のイベントはあった方が良いに決まってる」といった理由を書いて終わりたいと思います。

それは関東にも「外向的イベント」が出来たことです。 これまでは仲間内で楽しくやる「オフ会」や『JAM』のようなマニア向け展示会はありましたが、これらは一般層や一見さんには参加しずらいものでした。 そこに辻堂のようなイベントが出来たことでより広い範囲の人がレゴマニアたちの作品に接する機会が出来たのは日本のレゴコミュニティ全体から見ても非情に利の大きなことです。

勘違いしてほしくないのは「外向的イベントがえらい」わけではありません。 逆に関西エリアは一般向けイベントが殆どでマニアの寄合所的なイベントが殆どないことを私は心配しており「全てがバランスよくある環境」が一番えらいと思っています。

正直、私は結構な人見知りタイプなので見知った面子の揃うオフ会の方が居心地は良かったりします。 ですが逆にまだオフ会などに参加していない状態だったら一般向けオープンイベントの方が行きやすいだろうと思います。

また作品についても、バイオニクルの新作を作ったら解る人たちに見てもらいたいなと思います。 ですがゴジラやカービィのようなものは一般の人にも見てもらいたいと思います。

大事なのはその両方が出来る環境があることです。

今までは「レゴのイベントはとりあえず全部出る」という雰囲気でしたがこれからは変わっていくと思います。 自分に合ったイベントを選べる時代が来たからです。

願わくばそんな環境が根付いて欲しいものです。

掲載日:2017年7月17日